第8回 介助犬シンシア

 3月半ば、大阪に行った際に兵庫県の宝塚に立ち寄りました。JR宝塚駅の改札口を出るとコンコースに「介助犬シンシア」の像があります。
  介助犬とは、体が不自由な人の生活を手助けするイヌです。例えば、車いすに乗った人が携帯電話や財布などを落とした場合、口にくわえて持ってきます。何かを持ってきて欲しいときは、指示をすれば持ってきます。ドアの開閉もします。緊急時には人を呼びに行ったり携帯電話を持ってきたりします。
 銅像になった介助犬シンシアは、1993年生まれのゴールデンレトリバーの雌。交通
事故で下半身が動かなくなった宝塚市在住のコンピュータプログラマーの木村佳友さんの飼い犬でした。
 シンシアは、生後1年になる前に東京の訓練所に預けられて訓練を積み、1996年に
介助犬となって帰ってきました。

 シンシアが介助犬となった1996年当時、介助犬への理解は低く、公共施設や電車、
スーパーマーケットなどでは「ペットお断り」とシンシアの入場を断りました。
 木村さんは、介助犬への理解を広めようと、シンシアを伴って講演活動を始めます。1998年、毎日新聞はシンシアの連載記事をスタート、木村さんの活動を後押ししました。
 こうした動きによって、介助犬の役割が徐々に理解され始めました。2000年には住友生命の介護保険コマーシャルにシンシアが登場。その後、中学や高校の英語教科書にも
取り上げられました。
 2002年、前回紹介した「身障者補助犬法」が成立。盲導犬、聴導犬と並んで介助犬も「補助犬」として指定されました。シンシアは2006年、息を引き取りました。
 介助犬は2023年現在で58頭しかいません。日本介助犬協会によると、全国で約1万5000人が必要としているとのことです。

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